久しぶりに都会で食事をしました。
女将と私はなかなか外出できないので、街中に出たときは「市場調査」と称してなるべく外食してみるのです。じわじわと感じていましたが、最近世界的な物価上昇により街中の食事が美味しくなくなったような気が。
私どもも飲食業ですから、あらゆる食材を試食しています。時にはお客様に教えて頂いたりメディアに取り上げられているお店に行ってみることも。お値段出せば美味しいのは当たり前、手頃な値段で、素材を生かした美味しい料理を探しているのです。「皆様ぜひ教えてくださいませっ!」
「ここはこれを食べきゃ!ほんと美味しいよねっ」っていうものを1つでも持っている店は、本来強いです。しかしこの原材料の値上げと不況で、それもままならない。最近「あんなに美味しいものがあるのに、安い」お気に入りのお店が、どんどん姿を消します。とても残念です。
経営者が「商品に対する対価のバランス」を見極められなかったのかもしれません。これは危険です。私達も何度か「これは安すぎるから、もう少し価格を上げた方がいいですよ」と言いましたが、価格を上げてお客様が離れてしまうのが怖いのです。でもそれを続けることで利益が目減りし、お店を失うなんて本末転倒です。
消費者も安すぎる事を喜んでばかりいないで「適正価格」を考えるべきです。良い品質の美味しいものを手に入れるためには、やはりお互い努力も必要。このままだと個人経営の美味しいお店は、この打撃によって全部無くなってしまいます。
楓林の「豚肉の葡萄酒煮」本当に絶品でした。あれほどのソースを作る店が無くなるなんて。東京の有名店の中華料理も確かに北京ダックも、海老やふかひれ・牛肉もあるけどどれもそこそこ、「楓林の料理ほどの『美味いっ!』ってとこまで行かない」深みを感じられない。
味を決めるのは、素材の価格ではないということです。こうなると「美味しいってなんだろう」と考えてしまいます